皆さん、和歌山の歴史深いお祭り「那智の火祭(那智の扇祭り)」をご存じですか?日本三大火祭としても有名なこのお祭りですが、和歌山出身者でも聞きなれない人も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな那智の火祭がどのようなお祭りなのか、その歴史も含めてご紹介します。
那智の火祭とは

那智の火祭とは、熊野那智大社の例大祭です。例大祭とは、1年に1度その神社に由緒ある日に行われる特別なお祭りのことで、那智の火祭は毎年7月14日に斎行されます。
この、那智の火祭は、熊野の神々が、熊野那智大社から那智の御滝前の飛瀧神社へ、年に一度の里帰りをする様子を表しており、熊野の12体の神々を、それぞれの扇神輿に移し、大社より御滝へ渡御をなし、御滝の参道にて1本の重さ50kg~60kgになる大松明12本でお迎えし、その炎で清める神事です。
那智の火祭の歴史

那智の火祭は、1,700年ごろ江戸時代から行われていると言われています。古来より那智の大滝は神格として尊ばれており、大滝を擁する那智山は大国主命(おおくにぬしのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)を祀っていましたが、人徳天皇の時代に社殿を新築した折、12カ所に祀られていた神々を、新築の社殿にて合わせて祀るようになりました。
この、12カ所の神々をうつした際に行われた行事が「那智の扇祭り」、「那智の火祭」として伝えられたと言われています。
文化遺産にも指定された那智の火祭

「那智の火祭」という呼び名は、古くから地元の人達に慣れ親しまれてきた名前で、正式名称は「那智の扇祭り」と言います。
平成27年には那智の扇祭りとして、国の重要無形民俗文化財、ユネスコ無形文化遺産に指定されました。
この、那智の火祭は長野県北信地方の「道祖伸祭り」、京都府鞍馬の「鞍馬の火祭」と並んで「日本三大火祭」と呼ばれています。
那智の火祭の見どころ

1.那智の田楽
那智の田楽は、応永の時代に京都の田楽法師を招いて習得したと言われる伝統芸能です。笛や太鼓、編木(びんざさら)と呼ばれる、短冊形の薄い木片などをひもで連ねた楽器を用いて舞いを奉納します。
この舞いの振りは、田畑を耕して種を蒔き、田植えをする農耕の動作と、稲そのものの成長を表現すると伝えられており、那智大社に祀られる神々と、那智の自然の霊威を鎮める意が込められていると言い伝えられています。
この、那智の田楽もユネスコ無形文化遺産に登録されており、古くから受け継がれてきた息の合った演奏と舞いは圧巻で、まるでそこに田畑が広がっているような感覚さえ覚えます。
2.御火行事
御火行事は那智の火祭が「火祭」と呼ばれる所以となる行事です。1本の重さ50kg~60kgになる大松明12本に火を灯し、白い装束に身を包んだ若者たちの「ハリヤ、ハリヤ」という掛け声とともに、那智の滝、飛瀧神社までの参道の石段を昇り降りします。
この行事は、那智の滝にお迎えする12体の神々の先導と、その参道を清める意味が込められており、那智の火祭のクライマックスとも言える行事です。
参道いっぱいに乱舞する燃え盛る大松明は圧巻です。
3.扇神輿
扇神輿は、一般的な神輿とは違い、幅約1m、長さ約6mほどの立て看板のような形状をしており、神輿には金地に朱の日の丸を描いた扇を9カ所に、その他様々な飾り付けが施されています。
これは、那智の滝を表すとされており、12体の神々がこの神輿を依代に、那智の滝までの道のりを行きます。
扇神輿は1つに1体神が宿るとされており、計12本の神輿が立てられます。縦長の巨大な神輿が1本ずつ立ち上がる様子は壮観です。
また、先ほど紹介した御火行事の大松明が先導し、その後ろを12本の扇神輿が参道を練り歩きます。その姿は、神々の行進を思わせる様相をしています。
日本三大火祭の1つ「那智の火祭」
いかがだったでしょうか。今回は、日本の三大火祭の1つと言われる那智の火祭について紹介しました。那智の火祭は、火祭自体は江戸時代から、その中の那智の田楽は応永の時代からと、とても歴史深い日本の神事の1つです。
数百年の時を超え、脈々と受け継がれてきた那智の火祭は、その1つ1つが並々ならぬ神秘的な力を秘めており、神代の時代を垣間見ることができることでしょう。
そんな、那智の火祭は、毎年7月14日に執り行われますので、興味がある方はぜひ、和歌山の那智までお越しください!